夏の狂詩曲 ~後篇~

観音峠で小休止してから、再び登り始める坂バカトリオ

ひとたび尾根に出ると勾配は緩くなり、軽快なリズムを刻みながら少しずつ標高を稼いでいく
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往来は全く無く俺達3人の貸し切り道路状態

よくまあこんな山深い所まで来たもんだと感心する
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本日の第二関門である木賊峠に着いたときは正午近くだったか

だいぶ腹も空いてきたので、先を急ぎたいが道はなかなか険しい

せっかく稼いだ標高も虚しく下り坂、、、 しかも舗装は荒れ放題でバイクをコントロール

するのに精一杯なところへ、急に降り出した雨に打たれ精神的にとどめを刺される

山間に立ち込めた雨雲の中に突入してしまったようだ
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お次は谷底からの登り返し区間、、、少しでも蒸し暑さから開放されたい気持ちとは裏腹に

雨で濡れるよりはマシかとレインブレーカーを着込む、、、

やっと雨雲から抜け出したかと思うと、第三関門の瑞牆山荘までは直ぐそことという辺りだった

瑞牆山荘、ここが本日のランチポイントだ

レストランの扉を開け、店の奥に声を掛ける

すると無愛想なマダムが出てきて「何か御用ですか?」とのたまう

我々の姿を見て、招かざる客と言わんばかりの表情だ

食事をしたいと伝えるとマダムが引っ込んで、今度は愛想の良い

若い女性がテラス席に案内してくれて、ほっと一息
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さっきまで空腹と疲労でいい加減ウンザリしていた我々にとって、こんな山奥で

補給が叶うのは実に有り難い

コースは半分を消化していて、後半は麓まで後は下るばかりなので気が楽だ

食事を終えて、さあ行くかという時に師匠からある提案が、、、

せっかくだから少し寄り道して信州峠まで登らないかと言う

この男、、、ここまで散々登って来たというのに、まだ登らせる気か、、、

誘いを断って逃げたと思われるのも癪にさわるし、疲労で思考回路が麻痺している

もうどうにでもなれと思いながら、瑞牆山荘を後に信州峠へ、、、

信州峠と聞くと、さも信濃の国を代表する素晴らしい景色を想像してしまいがちだが

実際は見通しは利かず景色もへったくれもなければ、何かの記念碑があるわけでもない

峠と名が付けば、登らずにはいられない習性だけが我々を信州峠へ向かわせる

これまでの道程はおよそ50㎞、獲得標高も2,000mは超えているだろう

信州峠への登りが始まると、まもなく勾配がキツくなった

今日の自分の役割は他の二人を牽いて行く事だと言い聞かせながらも、

もはや後ろを気にしている余裕なんて無くなってきた

急にシャーッという派手なチェーン音をカキ鳴らしながら、誰かが俺の右側を

通り過ぎていく

そうです、あたしの師匠です、、、 山岳アタック入りました、、、

前日の芸能ニュースで壇れい結婚の事実を知り落ち込んでいた人間とは思えない力強い加速だ

予想していなかったアタックの仕掛けに少し戸惑った、、、 追いかけるか?

いや、本当は身体は反応して必死に追いかけている

追いかけているのだが、追いつくだけの力が無い、、、

嗚呼、まただ、、、 いつだってこうだ、、、

いつまでもこの人の背中を追いかけていたいという憧憬の想いと

いつか追い越したいという不敵な野心、、、 そんな矛盾が俺の中で交錯する

現実の力量の差というのは無情だ、、、 このアタックは何の危なげもなく成立した

つづら折れの向こうに隠れたかと思うと、そこから頂上までは師匠の姿を見ることはできなかった

どれくらい待たせたろうか、、、 師匠はそのことには触れない

「な、本当に何も無い所だろ」とさっぱりした口調で言った

確かに言う通りで何も無い、、、

何も無い峠で俺の中に何かが残った
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さあ、今度こそ本当に下って帰るだけだ
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# by dangai-symphony | 2011-07-30 23:17 | ツアーライド

洗礼 ~和田峠~

その場所はずっと避けてきた

戦慄のイメージ・・・

俺の中では 歌舞伎町の雑居ビル や 真夜中の心霊スポット と同列・・・

GW中の5/2 某アソスプロショップ東京の店長に誘われライドへ

コースは告げられぬまま、とりあえず指定の場所で待つ

時間通りに店長がやってきた・・・って

練習用の重量級バイクにパワークランクで登場・・・はぁ?

行先は和田峠と言う・・・あぁ?

すべてが俺の想像を上まわる

躊躇する間もなく走り出す・・・和田峠へ・・・

この日のメンバーは俺と店長ともう一人
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電光石火の平地職人 ライトニング・H氏

この二人は俺にとっては自転車の師匠だ

取り組み方や、世界観を教えてくれた

そういや、この人達と走るのは1年ぶりか?

1年間の俺の成長ぶりが試されるのね・・・緊張するっ
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峠の入口まで二人に引いてもらう

~和田峠~
 距離 3.6㎞
 標高差 363m
 平均勾配 10.08%

バス停からスタート

ライトニング・H氏からアタックの指令をいただき飛び出す

ダンシングで勢いをつけて、そのまま最初の緩斜面をやり過ごす

0.5㎞地点あたりから徐々に勾配は増す

突っ込みすぎたか? 考えても仕方ない

後ろを振り返ると店長がパワークランクで淡々と登ってくる

揺るぎない己のワールドを持つ男だ

っていうかこのハンデ差で負けたらヤダよ

ゴール地点まで2.5㎞の標識が見えた

ここから先、勾配が緩むことを期待するくらいなら、

家で大人しくしてた方がマシだ

スピードメーターは10㎞/h前後に

これ以上ペースを上げれば今にも燃え尽きそうだ

ギリギリの綱渡り状態、正確なリズムを刻め・・・

一度でも弱気を見せれば、この演奏は台無しになる

残り数十メートル・・・空が見えた・・・
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16分35秒

なんとか課題はクリアしたでしょうか?

店長はあくまでクールな表情

もっと精進しまーす
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# by dangai-symphony | 2011-05-05 21:16 |